Safety2.0・協調安全について
Safety2.0とは
産業の発展に伴い、安全を確保するための方策は進化しています。
これまでの安全方策の進化の過程を分かりやすく段階分けすると以下のようになります。
安全に対する最初の取り組みであるSafety0.0では、人の注意力や判断力によって安全を確保してきました。一方で、機械の領域や、人と機械の共存領域はリスクが高いままの状態でした。
その次のSafety1.0では、機械側に安全対策を施すことにより、機械自体のリスクを下げると同時に、人と機械を分離する、つまり人と機械の共存領域をなくすことにより、安全のレベルを引き上げました。
ところが現在では、情報通信技術(ICT)等を用いて様々な機器が接続され、相互に通信しながら人と同じ領域で稼働するようになっています。
清掃ロボット、搬送ロボットや生産ロボットはその典型的なものですが、これら以外にも、特定の現場やより広範なインターネット通信に接続された環境で人と機械とが共存して稼働する社会になってきています。このような人と機械が共存する領域では、従来のような人と機械を分離することによる安全を適用するには限界があり、不都合が生じるようになってきました。これをカバーするのが新しいSafety2.0です。人とモノと環境が協調することで、人と機械それぞれの領域はもちろん、両者の共存領域の安全も高く保つことが可能になります。
まさに今、時代は『協調安全』という新しい安全技術への進化の局面に来ています。
協調安全とは
協調安全とは、人・モノ(機械)・環境が、情報を共有することで協調して安全を構築する安全の概念です。
❐協調安全(Collaborative safety)の考え方に基づいたリスク低減策事例 【動画】
令和2年度経済産業省委託事業で制作した動画で「生産ラインにおける協調安全の考え方に基づいたリスク低減策の適用例」を紹介します。【You Yubeで視聴ください】
従来の機械安全や機能安全との関係性
協調安全は従来の機械安全や機能安全と相反するものや排他的なものではなく、それらに加えて協調安全も適用することにより、人の領域、共存領域、機械の領域におけるリスクを最小化します。
逆に言うと、協調安全の適用だけでリスクを最小化できるものではなく、本質安全や制御安全、機能安全などによって人の領域、機械の領域のリスクを低減できていることが前提となります。
協調安全・Safety2.0の適用例
Safety2.0を活用した協調安全による安全化は、ものづくり分野だけでなく、物流システムや交通における移動体との安全、土木・建築機械との安全あるいは作業安全、農業機械の安全、医療・介護分野での人の安全、また、社会インフラの状態変化に対する安全など、広範囲に適用可能です。